甘い狼の幸せな苦悩  
 
狼さんがくれたもの
(40頁)
 


最初はずっと怒鳴られてため息をつかれ、あたしに対してのハルの口癖は

「使えねぇ女だな」

毎日の様に言われた言葉と、自分の失敗に落ち込んでは泣いていたけど。

「泣くほど悔しいなら努力しろ。褒められるようになってみろよ。その時まで涙はとっとけ」

その言葉には、ハルの優しさが詰まっていると思えた。
振り返ってみれば暴言にも聞こえるようないつも、ハルの口から吐き出される言葉には、励ましのメッセージが含まれているような気がしてた。

新入社員の頃から怒鳴られて、呆れられて、溜め息をつかれ続け、残業なんて日常茶飯事で。それを言いつける本人は、あたしを一人残していくなんてことは皆無だとは言えないまでも、皆が帰った後に戻ってくることも多かった。

必須なはずのパソコンですらまともに扱えないあの頃、一から教えてくれるんじゃなく、間違いを正しては、できるまでつき合ってくれたり。
そのおかげで、ハルや田中さんの様にはいかないけれど、できるようにはなった。
だから、女の子達が言うような人だったとしても、あたしはそんなに悪い人だとは思えなかったんだ。

お仕事をテキパキとこなし、本当は部下のことをちゃんと考えてる人。そんなハルのことを尊敬していた。
それでも口調はあんなだから、やっぱり恐いという気持ちがどこかにあって。それにあたしはこんなだから、自分の中に芽生えた感情に、大きな不安だけを覚えた。


(40頁)
 
 [4]≪前  次≫[6] 
著:凛梨 先生
sp
[0]TOPヘ [2]上ヘ
sp
ケータイ小説iのべる@
ゼアル

ご登録は携帯から♪

無料ホームページ作成
無料ホームページ作成